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清々しい目覚め。
今日はなんだかいいことでもありそうな気分だ。
まだ三月の末日。
肌寒さに布団から出るのが億劫になる。
「あ~、もうすぐ学校が始まるのか~」
誰に言うでもない、独り言だ。
ただ口に出さなきゃ体の中に溜まる気がして零れてしまう。
厳しい受験戦争から解放され、あと二週間もすれば新しい学校が始まるといったところ。
といっても高校受験を制したくらいなのだが。
地元の高校に入学するには学力が足らず、三年になってから毎日死に物狂いで勉強した結果。
ボーダーぎりぎりで入学に至った。
「お~い、お兄ぃ。 夢が来てるぞ~」
階段を駆け上がる音と共に妹が部屋の扉を激しくノックする。
ちなみに夢ってのは俺の幼なじみ。
四月から同じ高校に通う事になっている。
そして妹は四月から中学三年、受験生だ。
「今起きた、ちょっと準備するからリビングで待っててもらって」
「は~い、……ったく、頭を下げる妹の身にもなってよね~」
そう悪態つきながらもノリノリで一階に降りていく妹、夢とは小さい頃から一緒だしな。
女の子同士仲良いのだろう。
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