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可愛い幼なじみだから、彼女とかそんな関係になるつもりもさらさらないし。
これからも仲良くやっていくつもりだ。
「凜くん! 聞いてる?」
下から首を傾け覗き込まれる。
また綺麗な瞳が俺を捉える。
長い睫毛、くりくりの瞳、整った顔立ち。
それにだんだんと大人っぽくなって色気も出て来ている。
ナチュラルメイクもしちゃったりして、正直どぎまぎしてしまう。
そんな思いを顔に出さず、さりげなく会話を戻す。
「ごめんごめん、なんだっけ?」
「やっぱり聞いてなかったね、もぅ。 同じクラスになれたらいいねって言ったの!」
同じクラスか。
きっと夢は可愛いし性格もいいからクラスの男子にもてもてで、すぐに彼氏とか作れちゃうんだろうな。
そう思うと少し憂鬱だ。
大事な一人娘が巣立って行く気分。
「どうしたの??」
「いやね。 ……彼女とか、欲しいなぁって」
ぼうっとして空を見上げて呟く。
「夢はいいところいっぱいあるから、高校でも楽しくやってけるし、彼氏だってすぐに出来ると思う。 そう思うと俺も彼女でも作って楽しい高校生活を満喫したいなぁ~って思っちゃってさ」
空から夢に目線を移すと、俯いて両手をにぎりしめる姿があった。
なんだか何か堪えているような。
そんなに変な事言ったかな?
我慢しなきゃいけない程おもしろい事言ったか??
ちょっと遠慮気味に夢は話し出した。
「ははは、凜くん、すごくカッコイイからすぐに彼女出来るよ……あのさ」
ぱっと顔を上げこちらを向いた。
その表情からは何かの決意すら見て取れる。
「その……私なんかでよかったら、凜くんの………………彼女にさせてもらえないかな」
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