過ぎ去りし季節 2

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跳弾はローランの想像も出来ない方角から次々と襲い掛かってくる。 更に厄介なのは、どんどんその精度を上げてくることだ。 実際に射撃したデータを元に、更なる計算が可能。 長期戦になればなるほど、無駄はなくり正確な射撃が可能となる。 「悪いけど……早目に勝負を決めさせてもらうから」 大地の調べに込める力を増した。 早々に勝負を決めなくては、自分も危ないと判断。 こちらも最大限に力を込め、残された舞台一杯に棘を出した。 「これだけじゃなくってよ!」 突起を始める前、ニアは最後の賭けに出た。 既に出現している棘に足を掛け、思いっきりジャンプ。 空中でバランスを取るのは難しかったが、その前に勝負を掛けた。 空中からローランを視認。 壁も何もない無防備な姿に、何連射もの銃弾を放つ。 その全てが命中した。 (勝てた……) 倒れていく姿を見て、その勝利を確信した。 魔力を込め破壊力を増した銃撃を受けたのだ。 立てっていられるはずはないと。 しかし、その望みは叶わなかった。 ボロボロと崩れ落ちる。 ローランは形を保っていない。 唖然としたニアを、着地と同時に棘が襲い掛かった。 腕や足、身体中の隙間に棘が入り込んでくる。 一切の身動きが取れなくなったところで、ローランが姿を現した。 「そんな……お姉様どうして?」 「悪いわね……経験値の差よ」 地面から棘や壁は全て消えた。 残されたのはニアの動きを封じている棘だけ。 その中で、ローランは大地の調べを使っての攻略を教えた。 「お姉様の……人形」 新たに出したのは、ローランそっくりの土人形。 出したと同時に錬金の魔法を込め、細工を施し本物そっくりの出来栄えだった。 「ガイアホールで作った穴の中に身を潜めて、大地の調べで人形を作ったの。 ニアが撃ったのはその人形。 戦い方は勝つためのもの。 その引き出しが多かった私の勝ちね」 杖を突きつけられては、勝負は決まったも同然。 身動き1つ取れない、反撃の手段は残されていなかった。 完敗だった、認めざる得ない。 「お姉様……またいつか、戦ってください」 「良いわ、ニアの成長……楽しみにしてる」 棘を解き、2人が戻っていく。 これで2戦目が終わった。 まだ敵わないが、その力に近づいた事は実感できた。 ニアにとって、とても大きな戦いとなったのだった。
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