第五章

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* * * * * 綺麗に紅葉していた木の葉も散り、どの木も寂しくなってしまった。 ある日、熱で寝込んでいる沖田さんの元へ雑炊を運ぶと、 「…いない」 部屋に沖田さんの姿がなかった。 私は、はぁーとため息を吐くと、沖田さんの部屋に雑炊を置いて沖田さんを捜し始めた。 沖田さんがいないと聞いて、一番血相を変えたのは土方さん。 「寝てろって言ったのに総司のやろう」 「落ち着いて下さい、土方さん」 「うるせぃ!風邪は寝てるのが一番じゃねぇか!変な咳もしやがったし」 ドキッと心臓が跳んだ。 沖田さんが労咳だという事実は、秘密にしている。 ……バレてた? 「ったく、しぶとい風邪だよな」 …バレてはいないみたい。 とりあえずは、一安心。 「私、壬生寺の方見てきます」 私はそう言って、土方さんに一礼した。
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