序幕

10/11

3169人が本棚に入れています
本棚に追加
/450ページ
「で、この子はどうするのですか?」 私の足の方にいる山南さんが言った。 「とりあえず、動けるようになるまで置いておく」 「それって、怪我が治ったら追い出すって事ですか?」 土方さんの言葉に沖田さんが言う。 土方さんは反論しようとしたが、 「へぇ、土方さんもそこまで鬼になったんですか。その子の話しじゃ、誘拐された感じじゃないですか?」 沖田さんはそれを遮る。 「帰る道も分からない子を、怪我が治ったからって追い出すんですか?」 「土方さんって、鬼の副長なんて言われてますけど、本当に鬼ですね」 「そこまで言ってねぇだろ!」 土方さんが怒鳴る。 「こんな小娘、隊士として置くわけにもいかねぇし」 そう言って土方さんは私を睨む。 「ならば、女中は足りているので、誰かの小姓として置いておけばいいのでは?」 「山南さんまで…。でも、それなら……」
/450ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3169人が本棚に入れています
本棚に追加