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「で、この子はどうするのですか?」
私の足の方にいる山南さんが言った。
「とりあえず、動けるようになるまで置いておく」
「それって、怪我が治ったら追い出すって事ですか?」
土方さんの言葉に沖田さんが言う。
土方さんは反論しようとしたが、
「へぇ、土方さんもそこまで鬼になったんですか。その子の話しじゃ、誘拐された感じじゃないですか?」
沖田さんはそれを遮る。
「帰る道も分からない子を、怪我が治ったからって追い出すんですか?」
「土方さんって、鬼の副長なんて言われてますけど、本当に鬼ですね」
「そこまで言ってねぇだろ!」
土方さんが怒鳴る。
「こんな小娘、隊士として置くわけにもいかねぇし」
そう言って土方さんは私を睨む。
「ならば、女中は足りているので、誰かの小姓として置いておけばいいのでは?」
「山南さんまで…。でも、それなら……」
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