第一章

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「でも、こんなにいいんですか?」 「多少は働いて返してもらうけど」 「ですよね」 私の、着物。 私の、浴衣。 着物とか浴衣とか、自分の持つの夢だったんだよね。 こんなふうに叶うとは思わなかったけど。 「そんなに珍しいの?」 「…はい。浴衣も着物も、めったに着ないので」 私は恥ずかしくなって俯いた。 「ふーん」 「じゃあ、僕はそろそろ稽古の時間だから行くね」 沖田さんは立ち上がった。 「あっ、あの…」 「何?」 「浴衣、ありがとうございました」 笑顔で言うと、沖田さんは一瞬驚いたような顔をして微笑んだ。 そしてそのまま沖田さんは部屋から出た。 「よし、次は廊下だ」 そう言って私は着物と浴衣を持って沖田さんの部屋を出た。
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