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数日後。
「まことちゃん、早く」
少し前を歩く沖田さんが私を急かす。
「待って下さいよ。浴衣とか着物とか、そういうので歩くの、慣れてないんですから」
沖田さんの背中に向かって私は叫ぶ。
「そんなにいじってると、髪崩れちゃうよ?直せないんでしょ?」
「落ち葉が髪にひっかかって…」
「とってあげるからじっとしてて」
沖田さんはそう言うと、私の頭に手を伸ばした。
……近い。
心臓の鼓動は早くなり、顔がほてる。
恥ずかしくなって、私は俯いた。
「どうしたの?」
私の顔を覗き込んで沖田さんは言った。
「な、なんでもないですっ」
顔を逸らしながら言うと、沖田さんは疑問符を浮かべながら笑った。
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