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「やっぱりここにいましたか」
沖田さんは壬生寺の建物の階段のところに腰を下ろしていた。
「見つかっちゃったか。君に見つかるような気がしてたんだ」
「どんな【気】ですか!?熱は下がったんですか?皆、捜してますよ?」
私は沖田さんの額に手を当てた。
「まだ熱あるんじゃないですか?」
沖田さんは額に当てた私の手を取った。
沖田さんの手は、少し温かかった。
「手がこんなに冷えて……」
「誰のせいだと思ってるんです?」
私は羽織っていた肩掛けを沖田さんに掛けた。
「こんなに冷えて……。さぁ、戻りますよ」
腕を掴んでそう言うと、すごく哀しそうな儚い顔をした。
私はなんだか申し訳ない気がして、目を伏せた。
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