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しかもその三日前に同じこと言ってたような気がするぞ。
「あ、そう言えばそうだったね」
笑いながら家に上がる知世。
オレはため息をついてから知世を追いかけた。
「おじさん! おはようございます!」
「お、どこのお嬢さんかと思ったら、知世ちゃんじゃないの」
「ちゃんとおじさんに言われた通りの時間に来ましたよ?」
朝食を食べている途中の親父に、知世は元気よく挨拶をする。
「ああ、悪いねぇ。良かったら朝ご飯食べていきな。悠利が作ってくれるから」
「あ、はい」
「ちょっと待て! なんで飯を作りもしねぇ親父がそんな誇らしげに言ってる! あと、知世もサラッとのせられてんじゃねぇ!」
はっはっは、親父の奴……こっち向いて笑ってやがる。
今日の晩飯抜きにしてやる。
「冗談なのに~」
「冗談じゃないの~」
「ハモんな! 気持ち悪い!」
親父と知世は、組むとタチの悪いコンビだ。
特にオレを弄る時、オレを罵る時、オレにちょっかい出す時……などなどだ。
「怒らなくてもいいじゃん。私ちゃんとご飯食べてきたよ?」
「いや、食ってきてなくても作んねーよ!」
オレは自分の部屋に戻ろうとリビングから出て行く。
「あ、悠利!」
「ちょうどいい。知世ちゃん、話……そろそろいいかな?」
いつもだらけている親父とさ違う親父の眼と声が、二階の部屋に向かうオレを追う知世を止めた。
知世は黙って頷き、親父と和室へ移動して座布団に座る。
「さて、話っていうのはだな……」
「はい」
「わかってるんでしょ? 卒業式の日に俺の言ったことの″答え″を聞きたいの」
知世はニコッと笑みを浮かべて話し始める。
「あの、【神ノ崎魔法学校】に入るって話ですよね?」
「そそ、それよそれ」
「父さんと母さんがあそこの教師として働いているので、反対はされませんでしたけど……魔法がまだあまり使えないので入学は焦るなと言われてしまいました」
「心配しなくても、お前さんと悠利は特別教育クラスだから気にすることねぇのよ」
一階の和室からする二人の笑い声を、オレは微笑みながら聞いていた。
残念ながら、している話の内容は不思議と聞こえなかった。
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