34 * 成海(最終日)

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ん、そういえば! 池田屋事件はまだ起きないのだろうか。 俺が池田屋に来てから、もうかなりの時間が経っているはずだが。 「鼎蔵さん、今何時ですか?」 とにかく今は、時間を把握しなければ! 「ん?¨何時¨とは何だ?」 「え、時間ですよ!」 …そうか、この時代は時間の表し方が違うのか! 「えっと…今は、何刻ですか?」 確かこの時代は¨刻¨という単位を使っていたはず。 「あぁ、今は猪の刻だが…。」 「猪の刻…。」 どうしよう。頭が回らない。 古典の授業でやったはずなのに。 「あと1刻で日付が変わる。」 「!」 あと1刻…つまりあと2時間で日付が変わるということは…。 今は22時! あと2時間の間に池田屋事件が…、 「ぎゃあああ!!」 「!」 突然、下の階から聞こえてきた叫び声に、ここにいる全員が口を閉じた。 少しの沈黙。 それから、階段を駆け上がる足音。 1人か…いや、2人。 俺は刀に手をかけた。 激しい音と共に襖が勢いよく開かれる。 見えたのは、浅葱色のだんだら模様。 俺は唾を呑んでその2人を見つめた。 1864年6月5日 午後10時。 池田屋事件 勃発。  
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