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サテラ、サテラサテラサテラサテラ。
森の中を駆け抜け、丘を目指す。
薬草が生い茂る丘には、人の姿は見当たらない。
しかし、薬草の入った籠と、きらりと光るペンダントを見て、俺は青ざめた。
いない。
サテラがいない。
攫われた。
でなければ、サテラがこのペンダントを手放すはずがない!
周りを見渡す。
サテラも、サテラ以外の姿も見当たらない。
俺は力を失い、膝から崩れ落ちた。
「サテラ…サテラ…!」
何処にいるんだ。
頼む、帰ってきてくれ。
サテラ、俺はお前がいないと…ただの弱虫なんだ。
頼む、サテラ…!
『助けて、セツ…!』
「サテラ!」
素早く立ち上がり、ペンダントを握り締める。
ふと向こうの獣道に、車輪の跡が続いていることに気が付いた。
俺はペンダントを首に下げる。
サテラ…必ず助けてみせる。
だから、無事でいてくれ…!
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