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雲の上にそびえ立つ、真っ白な宮殿。
白い羽根の生えた種族達が、玉座の前でざわついている。
「…何と言うことだ。今まで誰も気付かなかったのか!」
「神に何と言い訳をすればよいのだ…!」
「破滅じゃ…破滅じゃ!」
年老いた彼等を眺める子供が一人。
子供は、にっこりと微笑んだ。
その玉座の上から。
「ボクが殺せばいいだけの話なんでしょ?そんなに慌てないでよ。鬱陶しくて殺したくなっちゃう」
「…」
誰もが口をつぐみ、誰もが恐怖する。
子供は始終、笑顔だった。
「それの王様って、何色の血なのかなぁ」
地中の奥深く。
暗く冷たい黒い城。
黒い翼と尾を持つ種族達は、玉座の前に佇んでいる。
「…動き出したか」
玉座に腰掛ける男が呟く。
黒く長い髪を三つ編みにし、銀色の瞳で空を見上げる。
その傍に、煙管を蒸せながら駆け寄る水色の男。
「ゼル様、行くの?アタシ地上の綺麗な川に行きたいわぁ。ここにいたらお肌がカサカサになっちゃう!」
「知るか。一人で勝手に行け」
「やだっ、酷い!冷血!素、敵ぃっ!」
「…」
彼は溜め息をついた。
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