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彼等の頭に、鋭い角が生えているのが見える。
鋭い角、大きな筋肉質の体、尖った爪と牙と耳。
鬼人、だ。
「オメェ…サテラとかいう妖精だな?」
「…は、はい」
「おお、やっと見つけましたね親分。こりゃあ一生遊んで暮らせますよ」
品性のかけらもない笑い方で、三人は僕をなめ回すように見る。
僕は体が震えてしまって、立つことも出来ないでいた。
怖い。
きっとあの人達は、奴隷商人に違いない。
捕まれば…二度と、日の光は見れないだろう。
僕の頭には、逃げるという選択肢は皆無だった。
『……いいか、絶対に気をつけろよ。何か危険が迫ってきたら、すぐに逃げるんだぞ。わかったな』
セツ、セツ。
助けて…。
助けて、セツ…!
頭の中で、何度も親友の名を呼んだ。
けれど、後頭部に鈍い痛みを感じ、僕は目の前が真っ暗になった。
担がれるとき、カランと音を立てて、首からペンダントが落ちていった。
セツ…。
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