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「…暑い…」 ゆっくりと体を起こす。 額には汗が滲み、口元にはよだれ… 頬には畳のあとがしっかりと刻まれていた。 どのくらい寝ていたのかは分からない。 朝起きた後、甲子園のTV中継をぐだぐだ見ていたのまでは覚えている。 ただあまり野球に興味もないのでそのまま寝てしまったのだろう。 風に吹かれ風鈴の音がなる。 この音により涼しく感じる事が出来るとか昔の人は言ったそうだ。 だが暑いものは暑い…旧式の扇風機が唸りながら首を横に振っているが 生温かい風を運んでくれるだけだった。 周りには誰も居ない。 あたりを見回してみるとテーブルの上の紙に気づいた。 『みんなで出かけてきます。お昼は適当にすませてください。―母より』 なるほど…取り残された。 「ぐぅ…」 お腹が恨めしそうに鳴る。 このままここに居てもラチがあかないので ゆっくりと立ち上がり食糧確保のために台所へ― ギシギシと鳴る廊下を超え冷蔵庫にたどり着いたのだが… 「何も入ってねぇ…」 冷蔵庫の中にあるのは麦茶とビールだけだった。 とりあえず麦茶を飲みながら解決策を考える。 「とりあえず…飯買ってくるか…」 飲みほした麦茶のコップを流し台に置き、廊下を通りふたたび居間へ。 大きなカバンの中から財布を取り出して玄関へ向かった―。
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