その執事、策略

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空の蒼よりも青く、海の紺碧をも遥かに凌ぐその色彩。 …最良な例えとしては、淀みの無い上質なサファイアと言ったところでしょうか。 貴方と契約を交わす時、その瞳を変えてしまうのは惜しい、という気持ちを覚えたものです。 ですが… それは、私の間違いでしたね。 貴方は、隻眼が紫に変わったとしても儚く、美しかった。オッドアイという事が、ある意味では本当の貴方の美しさを引き立たせているようでした。 そして何より、その奥に刻まれた…刻印。 その瞳が印す喜び。私の所有物だという証を見る度、口元が思わず綻んでしまいます。 普段は眼帯で隠されているので世間に知らしめる事ができず、残念な気持ちになったりしますが…逆に、見てしまった者はこの世に居られなくなってしまうので…私だけが貴方の全てを知っている、ということになるのですね。 そう思うと、身体中を走り抜ける様な優越感に浸ります。 そう、まるで電流のように…
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