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K side
何ですぐバレるような嘘付くかな、中丸。
分かってるけど、その嘘に乗ってやるよ。
前々から気付いてた、中丸が嘘付くときの“癖”を今回も確認して、俺は中丸に話を合わせた。
「亀、今日は仕事は他に無いのか?」
「……今日はもう無い。取材も午前中に終わったし」
「そっか、じゃあ……」
「……?」
「いや、何でもない」
何か言いかけて、言葉を飲み込んだその表情がどこか寂しげで---……
「何だよ、デートにでも誘ってくれるのかと期待したのに(笑)」
「ふは、デートって(笑)亀が言うと何かアレだな」
構うように言葉を繋げば、いつの間にか表情は戻っていたけど
「仕方ねぇから今日はおじいちゃんに付き合ってやるよ。もちろん奢りな?」
どうしてもあの表情が気になった俺は、中丸の腕に自分の腕を絡ませると、多少の強引さは否めないまま中丸を外へと連れ出した---……。
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