第二章:謎の跡

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パトカーには運転している警察官と助手席に座っている俺しかいない。窓の外の景色を眺めていると、何かが後ろのほうで動いたような気がした。俺はバックミラーを見た。すると後部座席のほうに白いぼうっとしたものが写っている。俺は恐怖で顔が強張っていった。警察官がそれに気づき、「どうしたんだ?」と心配そうに声をかけてきた。「後ろに…な、何かいる…」俺がそう言うと警察官もバックミラーを見た。首をかしげていた。どうやら彼には見えていないらしい。俺は目をつぶった。もう何も見たくない。俺は家に着くまで必死で恐怖に耐えた。 十分くらいしてやっと家に着いた。とても長く感じた。母さんの声が聞こえたので恐る恐る目を開けた。バックミラーにはもう何も写っていない。家に入った。安心してソファに寝転んだらそのまま寝てしまった。 翌日、起きると玲子の顔がどアップで見えた。「どおぅわあっ!」あまりにビックリして飛び起きてしまったので、玲子と頭をぶつけてしまった。 「いてて…おはよ」 「お前何してんだよ…」 「神奈の寝顔かわいかったから写メとっちゃった」 「ソッコーで消せ!!」 俺はまた朝を迎えられて安心した。昨日のことがウソみたいだった。テレビをつけた。画面を見た瞬間、安心が恐怖へと変わった。昨日、俺達を送ってくれたパトカーが警察署に帰る途中で事故にあったらしい。しかも運転していた警察官が死亡したと画面に写っている。 俺はテレビを急いで消した。 言いようのない不安を感じていた。 玲子が「どうしたの?」と聞いてきたが「いや…なんでもない」とだけ言っておいた。 朝ごはんを食べているときも、玲子といっしょに登校しているときもずっとふたつの事件について考えていた。 登校中、玲子は俺が話してくれないので機嫌を損ねて先に行ってしまった。 俺は急いで追いかけようとしたのだが、後ろから感じる妙な違和感に気付き振り向いてしまった。 振り向いた先に人が立っていた。それは、あの車で見た奴と同じ奴だった。俺は、一瞬で目の前が真っ暗になった。
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