2人が本棚に入れています
本棚に追加
「にゃ」
私は猫だ。
それ以上でも以下でもない。
「にゃ」
水溜まりに目を落とす。
ぼやけていたが、どうやら人間の姿形をしているようだ、深く考える事は止めた。
実際人間になってしまったという事実、ただそれだけを受け入れる。
「にゃ」
諸々を試した。
喋る。
「にゃ」としか言えない。
私は口を閉ざす事にした。
歩く。
前傾姿勢の四足歩行より、二足歩行の方が楽だった。
楽な方を選ぶ。
「に……」
口を閉ざす。
私は猫じゃない、人間だ。
「にゃ」とは言わない。
そして、人間なら、
「――にゃ!」
決意を新たに、最後の「にゃ」
向かおう。
最初のコメントを投稿しよう!