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俺が自分の悔いに浸って絶望していると、二人組の奥から鈴のような透き通ったきれいな声が聞こえた。
勿論女性。
何よりどこかで聞いたことある声だから少し驚く。
ふと、顔を上げてその女性を見る。
「あんたは………」
「はじめまして。というのは少しおかしいかもしれませんね」
「誰?」
「ふえっ?」
目の前の女性が抜けたような声を出す。
というかどっかで会ったような………気がする。
「あの………本当にご存知あげませんか?」
「いや、どっかで見た顔だなとしか…………ってか涙目になるのやめてもらえない」
「すみません………あの、朝の事故は覚えてますか?」
「ああ、あれね。まあ、覚えてるけど」
「その事故であなた様に助けて戴いたのが私なんですけど…………」
んっ?今なんて言った?
「えーと……それってつまりは俺が事故で助けた女性って………」
「はい。私です」
「………………えええええ!」
本当にびっくりした。まさかあの女性が会いに来るとは思わなかった。
名前しか教えてないし。
何?何で顔覚えてないか?
そんなの無理に決まってるだろ。
テストで涙目になる点数とっている奴が短い時間で覚えれる筈がないだろうに。
バカ?うるせー余計なお世話だ。
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