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「もはや驚きを通り越して複雑な気分だな。じゃあそこのお二人さんは……」
「私のボディガードで元海軍特殊傭兵部隊の方々です」
「はぁ。なんか頭痛くなってきた…………で、月見陰さん方が何故俺に会いに?」
「それは勿論朝の事についてお詫びに参りました。
私の父、秀樹[ひでき]は、私を助けてくださった鈴風さんを大変気に入って、お詫びにとお金を好きなだけやるとおっしゃいました」
好きなだけやるね………
確かに響きはいいし、下手したら一生遊んで暮らせる。
素晴らしいには素晴らしい、けどさ………
「わるいな。そのお父様に言っといてくれ。俺は金なんていらないって」
この発言を予想してなかったのか元傭兵も月見陰も驚いた顔をしている。
「あの、別に遠慮なんてなさならないで下さいね。知っての通りに私たちは月見陰財閥なのですから」
どうしてこういう令嬢やら坊ちゃんというのはこんなにも堅いのかねー。
「いらないって言ったらいらない。確かに響きは最高に素晴らしいとは思うよ。
欲しいかと聞かれたらどっちかというと欲しい」
「なら、何でいらないのですか?」
「あのな………俺はただあんたを、あんたを人として助けたかっただけなんだ。
別に助けて金をがっぽり貰おうなんて一回も考えた事はない。
それは人として当たり前の事だし、あくまでも当然の事をしたまでだ」
「ですが………お父様は………」
「じゃあこう言っとけ。
俺はあんたの娘を助けたかったから助けただけだ。
そんな事で俺にお詫びをしたいなら直接会いに来てお詫びを言ってくれればそれでいいって、そう伝えてくれ。それにさ………」
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