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「はあ。あまり言いたくはないのだがな……いいか月見陰。
お前は決して悪い女の子じゃない。誰から見てもお前の容姿はアイドル並に可愛い。
それに性格もよく、言葉使いは丁寧。挙げ句に月見陰財閥の娘だ。自分を否認するな」
人を誉めると言うのは相手に気を使わなければならないから、考えるのがだるい。
恥ずかしいし。
「………自分じゃわかりませんけど……グスン…………では何でダメなのですか?グスン」
「わかるとは思うが俺はみたまんまの男だ。
お前みたいな奴なんかと釣り合わないし、お前の人生を俺で潰したくはない。
それにお前ならもっと顔のいい、いい男を捕まえることが出来るだろ」
さあ、さっさと諦めろ。もうかなり面倒臭くなってきたし、恥ずかしい。
それでも月見陰は首を横に振っていやいやする。
「ダメだ。諦めるんだ。俺は婚約も付き合いも認めない。
だから、諦めろ。さっさと帰って別の男に移し替えろ」
「いや………です………私は…………私は…………!」
「ダメだ!帰れ!いい加減諦めろ!だるいんだよ!」
ついカッとなってしまいそんな事を大声で言ってしまった。
何故自分はこんな事をいったのか分からなかった。
当然月見陰は顔を歪ませ俯いてしまった。
すみませんでした、と一言小さく言って立ち上がり玄関へと向かった。
ボディーガードの二人がそれについて行く。
そして俺も後悔を胸に玄関まで見送ることにする。
その場を立ち上がってようやく忘れていたことを思い出す。
とりあえずこれは最後まで取っておくことにしよう。
罪滅ぼしになるかどうかは知らないがな。
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