落とし物と女の子

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「おじゃま………しました………」 月見陰は依然と顔を俯いたまま挨拶して玄関を出て行ってしまった。 釣られて元傭兵の方々も玄関を出て行く。 俺も距離を置いてから玄関を出て、紙をドアに貼り付けて自分の用事を済ませることにする。 「おい、月見陰。顔を上げてこっちを向け。でないと痛いぞ」 「…………はい、何でしょうか?」 ぎこちない、無理をしている笑みを俺に向けて顔を上げてくれた。 「ほら、お前らの探していた大事な大事な落とし物だ」 ポケットからあの落とし物を取り出して月見陰の方に投げて渡す。 「えと、えと………キャッ………取れました……!」 「「おおおお!」」 あれ?歓喜するとこはそこなの? 落とし物の方じゃないの? 「まあいいや、とりあえず落とし物は返すから。それと、さっきはごめんな。 あんな事言って……ただわかってほしいんだ、平民とお嬢様じゃ違いがありすぎるんだって………じゃあそれだけだから」 俺はそのままドアに張り紙をくっつけて部屋の中に入り玄関を閉める。 玄関に何を貼り付けたかって? それはだな、[晩御飯製作中。これ以上邪魔をするな]という貼り紙だ。 ないとは思うがお礼とかでまた玄関に来てしまいそうだからな。 キッチンに向かって鮭のスープと思ったんだが。 だるすぎてその日の晩は手抜きの豆腐スープを作ることにした。
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