落とし物と女の子

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周りの騒がしさに反して俺は落ち着いて歩いていた。 だから、少し浮いているわけでなんか気分が悪い。 ふと並木の木を見てみると目に刺激を与えるほど眩しく輝くものを見つける。 大きさからして、手のひらに乗るぐらいで、金属。 最初に思ったことは新品の五百円。 次に百円。最後に五十円。 あえてツッコミは控えてくれ。ものすごく惨めに思えるから。 それによくよく見れば光物体は木の下ではなく枝に引っ掛かっていた。 考えれば金ではないことは確かだ。 興味本位で近づいて物体を確かめる。 しかし、これは気付きにくいな。 上から光が当たりはするが、反射したほうは葉っぱで塞がれている。 角度によってはやっと見えるぐらいだ。 物体を手に取り確かめると……… 「指輪?しかもまたでかいサファイアだな………まさかこれは………っ」 あぶねえ、あぶねえ。ここで[落とし物じゃん]何ていってみろ。 周りから人だかりが出来て奪い合いになるに決まっている。 これだけの人がたくさん必死なんだから、きっと褒美でもあるのだろうな。 まっ、所詮金持ちがやることだ。所詮は……な。 にしてもしっかり見とくんだったなニュース。 携帯見れば早いのだが、だるいから却下。
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