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宝石の大きさは本当に大きい。
宝石は小指ぐらいの長さがあり、重さもそこそこある。
とりあえずポケットにしまって再び歩き出す。
この落とし物には少し違和感があることがひとつある。
何故そんな大事な物を自分たちで捜索せずに民衆に任せたのか?
金さえ使えばこんな土地いくらでも買えるのに、何故民衆を使ったのか……
……ダメだ、だるすぎる。もうやめ。
信号が赤になるのをきっかけに考えるのを止める。
前を向くと、女性が向こう側に立っていた。
その女性は遠くから見ても、俺からみてもとても美しかった。
何というかオーラが違うというか、何というか…………
ちょっと見とれていると、突然頭にヴィジョンが流れる。
信号が青になって女性が3、4歩歩いた時だ。
赤にもかかわらずトラックが彼女目掛けて………
「うわああああああーっ!!
はぁ、はぁ、はぁ………何なんだよいったい………確かこれは十年前にも………」
あの時は確か、川の大洪水で飲み込まれるヴィジョンを見て………現実になった。
前を見たらちょうど信号が青になった。
何が起きたかはわからなかった。
頭の中は真っ白でまともな思考はしてはいない。
俺は気づいたら、カバンを投げ捨て、イヤホンを投げ捨て、ただ全力で走った。
目の前で起こるかもしれない現実から彼女を救うために………ただ………
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