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Side - Haruka Tsuchimikado
「広報のカメラマン、しっかり写真撮っててよ。視えない人用のキルリアン写真も忘れちゃダメよ。じゃっ、よろしくっ!!」
草木も眠ると言われる丑三つ時。
警察の手も借りて関係者以外を人どころか野良猫一匹の姿さえ無くした二車線道路。
あたし、土御門遙(つちみかど はるか)は鞘代わりのベルトに付けるタイプのケータイ入れから霊具を抜き、構えた。
刃の無い日本刀の柄に見える《那由他》は日本の霊具としてはポピュラーな霊刀の類である。
ただ、一般的な霊具とは違い起動に莫大な霊力を消費するが、起動後は空気中の霊力のみで刃を形成し続ける事が出来る長期戦向けの一振りであたし専用のオーダーメイドの一品だ。
「全く、お父様やお祖父様じゃ若者受けしないからってこんな雑魚相手にあたしが駆り出されるなんて最悪」
煩い二人を思い出しボヤキ、つい緩めてしまった気を《那由他》をギュッと握り締めて張り直す。
「来た来た、早く終わらせてシャワー浴びよっと」
チカッと一瞬ライトを瞬かせ、ドドドドドドッと地なりをさせて近付いてくるワンボックスカー。
しかし、その姿は事前に聞かされていないとワンボックスカーだと分からない程グチャグチャだった。
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