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一見、家族揃って犬の散歩のような図で15分ほど獣道を歩くと、踏み固められた道に出た。
道って言うよりちょっとした広場?空き地?まあ、山の中でその表現が当てはまるのか判らないけど、そんな感じの場所に出た。
周りの木が避けるようにして、大樹がどんと腰をすえる小さな広場で、開けているから山の下の様子が一望出来る。
「はー、こりゃ、すげぇなー」
「すげー、マジでRPGっぺぇ」
自然が織りなす大迫力の風景に、感動仕切りの敬と玲は置いておくとして。
いや、私も感動しては居るんだけども。
眼下に視線を滑らせると、予想してはいたけれどなかなかファンタジックな村が見えた。
レンガ造りの小さな家が立ち並ぶ町並みの到るところには、生活感が見て取れる。
生活音や人の声、軒先に提げられた洗濯物、玄関先に転がる子供のおもちゃ。
村を歩く人々の頭髪がこれがまた見事にカラフル。
地毛で青ってすごいわ。
「で、ナッちゃん。村に行ったら何すればいいの?」
どうせ敬は何も考えてないだろうし、と訊ねればナツが私を仰ぎ見る。
『村長さんのお家に行けばいいみたい・・・理由は、そこで判ると思うよ』
「解りやすいフラグをどーも」
パタリと尾を振ったナツの頭をぺしぺし叩いて、歩き出すと景観に目を輝かせていた敬と玲も付いてきた。
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