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大樹の広場から約5分、家から20分かけて漸く辿り着いた村で、現在、私達は--
「・・・えー・・・どうしてこうなった?」
「親父が抵抗したから」
「玲、あれは正当防衛だ」
「静かにしろ!」
ロープで拘束された上、凶器に成り得る農具を突き付けられてます。
別に何もしてないんだよ?
第一村人・・・って言うか、第一異世界人を発見して、村長さんの家の場所訊ねようとしただけなんです。
いや、マジで。
ちょっとポッチャリした、紫頭の女の子なんだけどね。
声掛けた瞬間、なんか真っ青になって悲鳴なんかあげちゃって。
すっ飛んで来た村の男集に刃物突き付けられて、ちょっと刃物が玲の腕を掠めた所為で敬がキレて、なんやかんやあって今にいたるわけです。
ごめん、正直ちょっと上手く纏める余裕なかった。
「ったく、勇者様がこんな田舎に何の用だっつーの・・・」
吐き捨てるように呟いたのは、私の斜め前で無駄にでっかいハンマーを持つ、前髪がうっとおしい金髪の男だ。
「粉砕、玉砕、大喝さーい・・・頭蓋骨的な意味で」
「はァ?」
「ごめんなさい、黙ります」
つい口からぽろっと出た言葉が耳に入ったのか、金髪ハンマーに睨まれた。
文字にすると「はァ?」だけど、音にすると「あ゙ァ゙?」だった!
この金髪ハンマーちょー怖い!
「パルさん、ラスティ“さん”まだッスか?いい加減、勇者共見張るの飽きたんですけど」
私から視線を外した金髪ハンマーの苛々した声に反応したのは、山羊か野生の羊みたいなでっかい角の生えたナイスミドル。
因みに髪は緑色。
「今、ロックが呼びに行ったさ。それよりも--」
「なあ、ちっと良いか?」
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