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何か言いかけたパルさん?パルサンさん?の言葉を遮ったのは、縄で巻かれて芋虫状態の敬だった。
「・・・なんだ」
「ユウシャって、勇者か?徒党組んで魔王とか退治するアレだよな?」
「何処の王も討たれた記録は無いが、そうだ」
堅い表情で、ナイスミドルが答えた。
金髪ハンマーが、白々しい。と、毒づいたけどそれは置いといて。
身を捩って玲の肩を肩でつついた私は、声を潜める。
「玲、もしかして私ら勇者と勘違いされてる?」
「それっぽいけど・・・に、しては対応変じゃね?」
確かに、勇者サマに対して、
ピリピリした空気と武器持参の野郎オンリーの歓迎ってのは、中々イコールにならない物がある。
女子供は家の中だし、
老人の姿は見えない。
どう考えても、これは“敵”に対する歓迎ですよね。
「・・・なあ、ナツ。ここ(この世界)の勇者ってー・・・」
声を潜めてナツに声を掛けた玲が、口を閉じた。
まあ、さっきまで真横に居たはずの相手(犬だけど)が居なくなってたら、そうするしか無いよね。
「あんの、馬鹿犬!飼い主のピンチに逃げやがった!!」
「るっせぇな!黙れっつってんだろ!ガキ!」
うがぁ!と、怒鳴り声をあげた玲に向けて、金髪ハンマーが怒鳴った。
重そうなハンマーを片手で軽々持ち上げて、苛立ちを込めて玲の真横に叩き込んだ金髪ハンマーに対して血の気が引く。
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