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「次ぁテメェらの頭に叩き込んでやっからな・・・」
うっとおしい前髪の下で睨みを利かせる金髪ハンマーに、玲が首を縦にブンブン振って見せていた。
ツッコミ症も大変だよね。
で、玲が全力でツッコむ原因になったナツは本気でどこに行ったんだろうか。
ぼんやり辺りを見渡してみても、視界に入るのは敵意剥き出しの男集ばっかりだし・・・
・・・・・・、
・・・・・・・・・訂正、
視界に入るのは、敵意剥き出しの男集と、物陰で妙にハァハァしてる赤毛の美人(男)だ。
「・・・すみません、ちょっと質問良いですか?金髪ハンマーさん」
「誰が金髪ハンマーだッ!」
あ、この人もツッコミか。
良かったね、玲。仕事が減って・・・じゃなくて。
「あちらの物陰で悦に入った視線を此方に向けつつ、妙に荒い息をしている・・・あ、今鼻血がでた、赤毛美人も村の人ですか?」
「あ゙?」
私が示した方へ、視線を向けた金髪ハンマーは盛大に口元を引きつらせてから溜め息を吐いた。
「ああ、残念ながらその通り・・・ッじゃねぇよ!何やってんだテメェ!!」
ビシッとハンマーの先を、赤毛の美人に向けた金髪ハンマーの怒鳴り声に、男集が視線を集めてゲンナリした。
鼻血を拭きながら物陰から出てきた赤毛美人は、慣れて居るのか、気にして居ないのか、胡散臭い位に爽やかな笑顔で軽く手を上げる。
「やあ、ライ。彼らが例の“勇者サマ”かな?」
「ああ、そうだよ。つーか、ラスティさん呼びに行ったテメェが、んな所で何してやがる」
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