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「私は2年A組の桜沢光です。
ちょっとこれ見てください」
そう言いながら、光はブレザーを脱ぎ、リボンを外し、シャツの第一ボタンを外し、首を焔叢に見せた。
そこには、不思議なタトゥーがあった。
「これは……なるほど……何されたんですか?」
普通に見ればただのタトゥーのようだが、焔叢はあしらうのではなく、そう訊ねた。
「実は………」
光はそのタトゥーをつけられた時のことを話しだした。
3日前、友達に誘われて旧校舎B棟に肝試しに行ったのだ。そして、半分まで来たところで、妙なものを感じた。同時に友達とはぐれた。
なんとか外まで出られたが、その日から首筋にそのタトゥーがつき、一緒に行った友達は音信不通、行方不明になったらしい。
「なるほど…わかった。
依頼を受けるにあたって、条件がある」
そう言って、焔叢は椅子に座った。
「一つ目、俺達は慈善団体じゃない。言ってしまえばギルドだ。報酬は貰う。
二つ目、今回の依頼で見たものは他言してはいけない。
三つ目、依頼解決及び、それ以後に俺達に干渉しないこと。
この条件が飲めるなら、依頼を受ける」
焔叢はそう言いながら、テーブルの上にあるコーヒーを飲んだ。
「……わかりました………」
光は戸惑いながらも頷く。それを確認した焔叢はカップをテーブルに置いた。
「わかった。依頼を受けよう」
焔叢は立ち上がり、鍵を持った。
「行きますよ」
「え?行くって……どこに……」
「それは歩きながら話します」
焔叢と光はプレハブの建物を出た。
光は焔叢の後について行く。
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