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「最初に言っておきます。『魔女』それがあなたの体験したものの正体です」
神楽学園校舎の廊下を歩きながら、焔叢はそう言って説明を始めた。
「あなたの首筋のタトゥーそれは、魔女のマーキングです」
「魔女?マーキング?」
光は意味がわからず、焔叢の言葉を繰り返す。
「魔女というのは、『怪異』怪奇現象の一種です。神隠しや、自殺しそうにない人の突然の自殺、これらの原因の一つが魔女なんですよ」
焔叢は光に伝わるように、説明をする。
「今回のあなたのように、何も知らないで行った場所に魔女がいたりするんです。
何も知らないで訪れた人に魔女が自分の印をつけます。そして、印をつけられたら最後、魔女のエサになって死をむかえます」
「そんな…………」
「肝試しで行った旧校舎にたまたま魔女がいたんでしょう。
あなたと一緒に行った友達は前も行ったようですから、おそらくエサになっているでしょうね」
焔叢の言葉に光は、鈍器のようなもので頭を殴られたような衝撃を受けた。自分と一緒に行った友達はもう助からない、そう考えると言葉が出なかった。
「あなたはタトゥーに気づき、俺のところに来た。あなたは助けます。安心してください」そう説明しながらたどり着いた先は、光が肝試しで訪れた旧校舎だった。
焔叢は旧校舎の入口前に立ち、旧校舎を眺めた。
「確かに、ここにいますね」
焔叢はそう呟くと、踵を返し旧校舎から去っていった。
「帰るんですか?」
「ええ。今入っても魔女には会えませんからね。動きだすまで、待ちます。明日の夜動くと思いますから。
自宅まで送ります」
焔叢はそう言って、学園を後にした。
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