夏にて狂愛

3/7
前へ
/7ページ
次へ
 ソファーに座ってリラックスしている熊がプリントアウトされたメモ帳を持ち、私は電柱に隠れながら彼の行動を観察する。メモ帳の紙面に書かれているのは鈴木くんの行動パターン、台詞、私の鈴木くんに対する愛。ページをめくる度に鈴木くんと過ごした時間が鮮明に蘇る。うふふ。おっと、鈴木くんラブと題名が付けられたアルバムを脳内で見ていた間、鈴木くんの美しい指先がケータイ電話をいじっていた。メモメモ。ちなみに彼のケータイ電話と私のケータイ電話は同じである。というか同じのに私がした、えへへ。  今回の鈴木くん追跡計画に抜かりはなく綿密なものであることは私が保証しよう。彼のバイトが終わる時間を見計らい、私はこそこそと電柱の陰に隠れて待ち伏せをしていたのだ。ちなみに鈴木くんが徒歩で家に帰るという情報は一週間前、彼とシフトが一緒になった時訊いておいた。ふむ、よくやった私!パーフェクト!そしてナイスボディ!  以下、回想。 『ねぇ、鈴木くん。私と結婚、じゃなくてさ、家からここまでどうやって来てるの?自転車、見当たらないけど』 『歩きだよ。家もそこそこ近いし、それに僕、部活に入ってないから運動しなくちゃね(笑顔)』 『ずっきゅーん!(効果音)』  
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加