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さらりと銀糸が視界に現れた。
その源は赤眼を細めて、一度会釈をした。
「初めまして、リュウ・ティスタレナくん」
「ハジメマシテ」
「・・・つれないですねぇ」
銀髪は頭の上で蜷局を巻いて、その尾が風に靡いていた。紅玉のように透き通った瞳は、その熱い色とは真逆の冷静に状況を見据える瞳だった。
「あんたが、旅人さん?」
「まあ、ここではそう呼ばれていますね」
「なんで俺の名前、知ってんの」
「私が宿泊している宿は君の家だと聞いているんですが、」
「・・・母さんか」
娘の身の安全が確保されたことが嬉しくて饒舌になっているのだろう。なんと皮肉なことだろうか。
「君のお宅は、仲がよくて楽しそうです。娘さんも可愛らしいですし、絵に描いたようなとはこのことを言うのでしょう」
「そう見える?」
「えぇ。お母上は君が上から降りてこないととても心配なさっていましたよ、いつもなら食事の時間には降りてくるのにと。そこで私で宜しければと、君の捜索を引き受けたんですよ」
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