想ひ出

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  貴方は今 どうしているの? 貴方は今 何をしているの? 私の頭の中は ずっと貴方の事ばかり‥ 「行ってきます。」 鏡に向かって 言う様になったのは もういつの事だろう。 鏡に写る私が貴方に見えて。 「行ってらっしゃい。」と 優しい笑顔で送り出す 貴方の声が聞こえる気がして。 私の日課になったのは いつの事だろう。 もう、そんな事はないと 解っているはずなのに。 幻想に酔いしれて。 貴方の想い出を思い起こして。 いつからか、現実から 目をそらしてた。 貴方と過ごした日々は 色とりどりの世界で。 今の現実は 何も見えない灰色で。 心のどこかで 貴方にすがりたくて。 でもそれは、所詮空想。 今を生きなきゃ。 そうは解っていても。 想い出に囚われてしまう。 弱い人間だと叱咤する自分と。 そこにすがらなければ、現実に 押し潰されてしまう自分と。 悪魔と天使が共存する中で。 一体私は何を信じれば 良いのだろう。 見たくて見れない現実を。 貴方という曇りガラス越しに 見つめて。 私は、 想い出の世界に 囚われてしまったの。 抜け出せない世界から 外を眺めて。 私は、想い出の世界の住人。 風化も美化も させたくないから。 だからここに居る。 抜け出せなくてもいいの。 それにここは、 とても心地がいいから‥    
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