1章

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-西暦2007年8月13日17:30分- 放課後、学生にとっては部活に励む者や帰宅する者など、学校の授業が終わった自由な時間である。 …が、自由ではない例外もあるのだ。 とある教室、机を挟んで座る2人の生徒。 椅子に座り机にノートを広げ、シャーペンを持つ手は微かに震えている少女。 長く伸ばされ染めた事のない艶やかな黒髪は後ろに1つに纏められたポニーテール、少し大きく感じる二重の黒曜石のような眼は机の上のノートへと伏せられていた。 女性らしい柔らかな曲線の身体は、申し訳無さそうに小さくなっている。 その小さくなっている少女を見下ろす青年の、同じように二重の黒い眼は鋭く細められていた。 ウルフカットの柔らかな髪質をした自分の黒髪を持つ頭を少年は面倒そうにかき、左手に持った教科書で己の口元を隠す。
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