嵐とローソクと白いセーター

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-1- 「結構風が強くなってきたなあ」 声の主は、同じ営業課の岩崎だった。 理川俊夫は窓の方に目をやった。 他の社員も、デスクから立ち上がり外を眺めた。 嫌な雲が空をおおっていた。 風はかなり強い。 「10月なのに台風でも来てんのか」 誰かが言った。 「今日は早く帰った方がよさそうだな」 岩崎の言葉に、理川も 「そうだな」 と呟いた。 こういう日は早く帰るにかぎる。 理川は自宅で待っている、妻と小学五年生の息子の顔を思い浮かべた。 そして机に向かい、仕事を急いだ。
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