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ここは、辺り一面、深い山々…。
深い森しか存在せず、自然が圧倒的に世を支配していた…
そんな中、どこからともなく言葉が聞こえる…
何か難解な言葉だ…。
言葉の主は、森の中にいた。
性別は、男女とも見分けのつかぬ年齢で、複雑な格好をしている…。
幅3メートル高さ2メートル程の小さな木で出来た祭壇の上に立ち
奇声とも言える声の高さで、唸りを上げていた…
その奇怪な者の立つ壇の前には、簡素に木が組み上げられ、その中に黒い塊が、あった。
そこには、僅かに残る乳房や男性とは違う柔らかな人の形から女性と見られるが、もはや炎に包まれただの黒塊にしか見えなくなってきている…。
その黒塊は、苦しさに耐えられず死んだのか、口を開けたままになっている。
そのため時折、咆哮とも聞こえる音が聞こえて来る。
何ともまがまがしい光景だ…………。
さらに、炎の中にマグネシウムを含んだ石であろうと思われる石を投げつけた。
炎は、大きな音を立て、マグネシウムが緑色の炎を立て、大きく炎が膨れ上がり、炎が勢いを増し、高々と渦を巻き燃え上がっていった。
何かの呪いの効果を出しているみたいだ。
壇と人間を焼いた炎の周りには、人々が数十人いた。
その姿は、祭壇に立つ者とは異なり簡素だ…。
その為、壇に立つ者の位が高いのが伺える。
人々は、壇の前にひざまづき、祈りを形にするべく鬼の形相で願っていた…
辺りには…顔を背けたくなるような肉の焼ける臭いが漂っている。
その煙のせいで、周りに住む獣達が時折、恐ろしい唸りと咆哮を発する。
ここは小さな集落…。
人々は、獣や、ものの怪を恐れ
住む家は、木々の上で暮らしている。
この時代、人々は無事に健やかに繁栄するため…
時に祈りを捧げ
時に儀式を行う
人間は儀式をする事により、摂理や理(コトワリ)を理解し始めていた…
なぜ神を奉り上げだしたのか?
神を見たからなのか?
いや…
偶然にも、神を生み出そうとしていた…。
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