第1章

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手のひらが段々と大きく見えてくる。 私は、手がひょっこりと飛び出した一本の木を目の前にすると、その向こう側にいる「声の主」を覗き込んだ。 一瞬フワッと風が吹くと、私の視界に映ったのは桜の木にもたれかかって座る20代くらいの男の人だった。 整った顔でキラキラに輝く金髪。耳にはたくさんのピアス。そして右手に缶コーヒー。 私を下から見つめる彼の口元は笑ってた。 金髪にピアスで缶コーヒー…普段ならこんな派手な顔した人にあまり近寄ったりしない。 怖いというか… 危ないと言うか… なんと言うか…。 不良とまでは言わないけれど、こんな雰囲気の人は私なんかが近づいてはいけないオーラがある。
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