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だけど、彼は違う。
笑っているからだろうか…。
微笑んだその顔を見たら、ここにいて大丈夫だと思えた。
逃げ出したりしようと思わなかった。
風が吹いた一瞬の間に、私の瞳に映った光景はしっかりと焼き付いた。
多分もう忘れることなんてないと思うくらい。
ぼーっと彼の顔を見つめるしかない私に、彼は笑ったまま言う。
「猫との会話は楽しかったか?」
「………っ!」
カァッと顔が熱くなる。恥ずかしい自分の行動を思い出した。
そうだ!だからこの人はさっきから笑ってるんだ!
こういう時、穴があったら入りたいって言うけど本当だ…。
穴掘って入りたい。
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