第1章

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だけど、彼は違う。 笑っているからだろうか…。 微笑んだその顔を見たら、ここにいて大丈夫だと思えた。 逃げ出したりしようと思わなかった。 風が吹いた一瞬の間に、私の瞳に映った光景はしっかりと焼き付いた。 多分もう忘れることなんてないと思うくらい。 ぼーっと彼の顔を見つめるしかない私に、彼は笑ったまま言う。 「猫との会話は楽しかったか?」 「………っ!」 カァッと顔が熱くなる。恥ずかしい自分の行動を思い出した。 そうだ!だからこの人はさっきから笑ってるんだ! こういう時、穴があったら入りたいって言うけど本当だ…。 穴掘って入りたい。
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