2011年

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誰に一番感情移入したかといえば…実直すぎるが東雲右近。 彼を襲った悪夢に、胸が痛みすぎて息が出来なくなるかと思った。 死神の降臨の迫力に打たれた時は、右近に入り込み気が狂いそうになった。 身の毛のよだつような「恐ろしさ」を不本意にも体感してしまった。 そして一番印象に残った又市の台詞… 「花が咲かねぇ枯れた土地、あの手この手で欺いて耕して、花ァ咲かせてこその小股潜りで」 「仕掛け」にはちゃんと着地点が用意されていることが伺える。 彼等のやっていることはただの「退治」でなく、「導き」だと。 それぞれの登場人物の異なる生きざまに考えさせられるものは多く、何回読み返しても新しい発見があると思う。 京極夏彦イコールホラーというイメージが挙げられるが、内容は実に人間臭くて後味は人の心の温もりが残る。 思い出す度、切ない。
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