2012年

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2)「猫鳴り」沼田まほかる (双葉文庫) 本屋に平積みしてあり気になっていた作家さん。 予備知識0のまま手に取ってみた。 時代小説にどっぷり浸かってたので久しぶりの現代小説でリフレッシュしようと思ったら… 不穏な世界。 なんだろうこの感覚。 元々内省的な文学作品が好きじゃないからか、 キーワードとなる「猫」が苦手だからか、 現代人の貪欲さに辟易したからか、 どうしようもなく不快だった。 でも、徐々に猫の生と死に心が揺さ振られるようになってきて 危うく涙が出そうになった。 三部構成で、ラストの章は凄まじい。 死に向かう猫の姿に、昔飼っていた愛犬の最期が重なって 「もうやめて」 って、思うくらい。 でも、ラスト2行に全てをまとめてさっと幕が下りる、心地よい終わり方だった。 表現が巧くて、完成度の高い作品だと思う。 200ページだからあっという間だったけど、 読む前よりは少し、猫が好きになったような気がする。 面白かったけど他の作品も読みたい!と、がっつく気分にはなれない☆☆
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