プロローグ

2/4
前へ
/85ページ
次へ
(ふぅ……もう一ヶ月か) 職員室の窓際のデスクに腰掛け、息をつく少女。 「芦川先生、放課後の職員会議は延期ですって」 少女に声をかけたのは西条卓也(さいじょうたくや)。 学校の女性から人気の美形男性教師だ。 たしか30近い。 「あっ、わざわざ有難うございます」 慌ててお礼を言う少女……もとい芦川奈緒美(あしかわなおみ)。 今年新任の22歳(!)だ。 奈緒美は再び物思いにふける。 (一年生達、一ヶ月も経つとやんちゃだなぁ……とくにあの子……) 最近彼女の頭を悩ませているのは、若々しい新・高校一年生の教え子たち。 (大学出ただけの私にいきなり担任はつらいよ……) 少女と形容しても差し支えのないあどけない顔。 (おっといけない。もう時間じゃない) 立ち上がり歩きだす。 小学生と言われる低身長。 (あの子、またからかって来るんだろうな……) わずかに頬を膨らませる。 「おはようございます」 「ナオちゃんせんせーー!」 (……ほら来た……)
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

260人が本棚に入れています
本棚に追加