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釈迦如来帝(シャカニョライミカド)。
鰻と同じサジュラグルア出身の外来人の名で、痛々しい思想の権化の代名詞となり得る存在である。
帝の住む街の名は『ジャルシグス』。デルフィンドとは比べ物にならない程の大都市だ。
出来るだけ車に目を向けずに通過し、二人は商店街の中に入る。
と、すんなり商店街に入れた事に対し、鰻は首を傾げていた。
鰻の予想ならば、此処で帝が文句を垂れつつ迫ってくる。筈だった。
見事外れた予想に動揺しつつ、今晩の夕食のおかずを探す。
普段は献立を決めてから買い出しに行くのだが、今日は自分の誕生日だからと言う理由で、アドリブ買い出しとなっている。
無論、アドリブなのでついつい余計な物を買ってしまう事もある。
「にゃ、美味しそうなアイスですなぁ~」
その時は早くも訪れたようである。
目を輝かせ、サディアスは近くにあるワゴンタイプのアイスショップを見つめる。
ポピュラーなバニラからチョコチップまで、小さなワゴンに似合わない豊富な種類の中、サディアスが目を付けていたのは『人気商品!クックアイス!』と、オススメ扱いされている代物だった。
鰻はゲテモノを見る目で屋台を見つめ、サディアスは「奢ってほしいな」と言わんばかりのオーラを放ちながらガン見をする。
クックアイスとは、サジュラグルアでよく見られる大型怪鳥『イャンクック』の軟骨をすり潰し、クリーム状にした物をバニラと混ぜた物である。
怪鳥の軟骨の独特な食感と甘さがマッチし、今や人気商品の地位を築いている。
更にコラーゲンも豊富で、購入者の大抵が女性である。
「妙な物を食べたがるんですね……まぁ何時も耳を触らせていただいてるので奢ってあげましょう」
「わっ、ホントッスか?アリガトゴザマ~ス」
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