13人が本棚に入れています
本棚に追加
輝く目で鰻を見つめながら、嬉しそうにサディアスは鰻の手を引っ張ってワゴンに近づく。
疲労による所為か、店主は若干ダルそうな顔で「いらっしゃいませ」と声を掛けた。
「クックアイスって奴くださいなっ!」
元気のいい注文に元気なく答える店主。
スタンダードなコーンに若干桃色の混じったアイスが二段盛られ、サディアスの手に渡される。
意気揚々とそれを食べるサディアスを他所に、鰻は溜息混じりに代金を支払った。
「今日はイャンガルルガの軟骨のから揚げにしましょうかねぇ」
ノープランで買い物をする筈だったが、思いついてしまった物はしょうがない。
一種のやっちゃった感に浸りつつ、周りの商品に夢中なサディアスを連れて行く。
時折、先程の「買ってほしいな」オーラを放つが、鰻の「買いません」の一言で一蹴される。
傍から見れば親子のようにも見える微笑ましい光景である。
が、そんなやり取りも束の間。
『7月28日』
この日付が何を意味するのか、サディアスは勿論、鰻も解っていなかった。
「ぬぬ?」
逸早く”それ”に気付いてしまったのは、サディアスだった。
首を傾げ、鰻の背中をつついて”それ”を指差す。
ちらりと指差した方向を見た瞬間、鰻の表情が固まった。
最初のコメントを投稿しよう!