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言うまでもなく、鰻はサディストで例え相手が女性であろうがなんだろうが平気で拷問にかける拷問狂である。
だが、無差別でかけるのではなく、悪魔でも”突っつかれた時”のみである。
つまり、拷問を正当防衛と見せ掛けるのだ。
「雅……帰るまで大人しくお留守番、お願いしますね?」
有無を言わせぬ笑顔で雅を威圧し、雅が組んでいた腕をいとも容易く解き、ぽんぽんと肩を叩く。
雅は即座に肩を叩く手を掴み、半泣きの表情で首を横に振った。
「い、嫌よ……私も行く……一緒に……」
「駄目です。泣いたって連れて行きません」
上目遣い、若干上ずった声、シュンと垂れた狐耳。
これら三つが合わさり最強に見える。更に裾をしがみつくと頭がおかしくなって死ぬ。
核兵器のような破壊力を持つ雅のこの攻撃に、鰻は即答で一蹴した。
尚もせがもうとする雅だったが、次の鰻の一言でぴたりと動きを止めた。
「地下室」
笑顔で言ってのけた単語に、雅は目を見開いてガタガタと震えだした。
鰻+サディスト+地下室=最強
という方程式が成り立つ。
勿論、『地下室』とはそういったスペースである。
あえて説明するなら、サディストの極地だ。
「解りましたね?では、お留守番お願いしますね」
「ぅぅっ……う、うん……」
今一度サディアスに睨み、雅はくるりと踵を返して家に入っていった。
「あの……ち、地下室とは……?」
「うん?地下室は地下室ですよ。まぁ”使わない用具”とかを入れてるスペースなんです」
実の所、澪隆家には確かに地下室はあるものの、鰻の超絶適合分野な地下室ではない。
本当の意味で、使わなくなった道具をしまっているスペースである。
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