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トイレが食堂のそばにあるのは、飲み過ぎた時いつでも吐けるようにだとか。
「まぁ、あんたたちはまだアルコールには縁がないだろうけどな」
「あっても嗜む程度ですわ。アルコールで自我を無くすなんて、大人気ないですのね」
「セレブのお嬢ちゃんはさすがだなぁ…」
完敗した。いろいろ(洗濯場とか)自慢だったのだが、相手が悪かった。
銀河一の令嬢にはこの程度では、何の自慢にもなりはしないのだ。
トトロスは少し悔しく思った。
シャワー室は2ヶ所にある。
全室クモリガラスで囲まれ、音声スピーカーが内蔵されていて、会話しながら使用できる。
「一応、男女兼用だ」
格納庫そばに3人、居住スペースに5人まで同時に使うことができる。
部屋にシャワー室がないわけではない。
格納庫のそばにあるのは、さっきのヒカルのようにヴァーミンの体液を浴びた時、すぐに洗い流せるようにだとか。
あとは戦闘機で戻ってきてすぐ、気分転換をしたい時や、格納庫で整備した後に使うらしい。
居住スペースにもあるのは、寂しくなって誰かとコミュニケーションを取りたくなった時に使うそうだ。
「あんたら仲良さそうだから、いいんじゃないか?」
「プライバシーが守られてないわね」
「誰かに聞かれて困るような話をしなければいい」
「そういう問題ぢゃなく!」
「レイナちゃん、楽しそうだよぉ…」
文句を言っているレイナに対し、アイルはこの船で過ごす数日間の生活を、楽しもうとしているようだった。
やがてトトロスは居住スペースの一画で立ち止まる。
「この辺だな」
トトロスは懐から3部屋分のカードキーを取り出した。
「誰がどの部屋を使ってもいい。2人で1つの部屋ってのもありだが、キーは1部屋に1つしかないからな」
「あたしは1人でも大丈夫だよぉ。レイナちゃんは?」
「わ、わたしも1人で平気よっ!」
勢いでトトロスの手からキーを取るが、その直前レイナは一瞬だけ、同居していた大学生の人を思い浮かべていた。
「ねぇ、医務室の場所は?」
「今は教えねぇよ。あの子にも休息は必要だからな。気がついたら、あんたらに顔を見せるように言っておくよ」
「ありがとう、トトロスさん」
「あぁ…」
トトロスは軽く答えると来た道を戻っていった。
「レイナちゃん、中にもシャワーあるみたいだし、とりあえず入ろぅ」
「そうね。あとで通信入れるね」
「うん。じゃあ、またあとでね」
レイナとアイルはしばらくしてから、置いてあった部屋着に着替えて通信で話をし、そして自分たちでも気づかないほど疲れていたのだろう。通信を切ることも忘れ深い眠りについた。
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