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「えーと………」
「考えといって、っていったじゃない!」
「ごめん、レイナ」
「あたしはぁー…」
「わかってるわよ、アイルは布地屋でしょ?」
「違うよぉ。今日は糸屋だよ。あとボタン屋」
「はいはい」
ヒカルは2人のやりとりを楽しそうに見ていた。
布地屋や糸・ボタン屋に行きたいと言っているのは、ヒカルとは中等部の時からの友達で、名前は天宮アイル。
身長はヒカルのが1cm高い。
肩までのブラウンの髪。横髪をピンで留め、つんと立った髪はまるで触角のよう。碧色の大きな瞳は印象的だ。
成績等はヒカル同様にイマイチだが、衣服を作るのが得意。
どんな服も簡単に作ってしまうが、普通の人が普段着ないような、不思議な衣服を好んで作る傾向がある。
アイルもヒカルと同じく1人部屋に住んでいるが、部屋の中は作成中の衣服で散らかっている。
先程からどこに行くかを仕切っているのは、高等部から編入してきた神宮寺レイナ。
背はヒカルより5cmくらい高い。
背中まであるブロンドの長い髪。青い瞳で美少女と呼ぶに相応しいきれいな顔。
レイナの家は銀河一の資産家。
アカデミアが銀河一の学園惑星であるから、その高い教養を受けさせるため、両親はレイナを1人アカデミアに編入させた。
レイナは両親の思いに応えるように、成績はつねにトップクラス。
人気もあるが、プライドが高いと思われているため、周囲からは近寄り難い存在。
わかりやすくいってしまえば、ヒカルとアイル以外に心許せる友達はいない。
レイナは2人部屋に住んでいるが、同居人は大学生の女性で良いお姉さん的な人。
嫌いではないが、若干苦手だった。
レイナは週末に隣の惑星のホテルで過ごすことが日課になっている。
両親や知人、あるいは資産家の令嬢としての大役を果たす時もあるからだ。
レイナはどの道隣の惑星に行くのだから、一緒に遊んで帰ろうと言っているのだ。
ヒカルは思いついたように言う。
「いつものカフェカフェに行こうよ」
「いいけど…期間限定のメガ得スイーツは、もうないかもしれないわよ?」
「だめもとで行ってみるですぅ」
「そうね。じゃあ、とりあえずカフェカフェね。その後アイルの買い物に付き合ってあげるわ」
「ありがとうですぅ」
3人は早速帰り支度を整えると、教室を後にした。
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