友情の絆

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「わたしくしはレイナ。神宮寺レイナ…ですわ」 レイナは真っ先に名乗ると不安そうな表情を見せた。 「あ、あたしは、天宮アイルですぅ。あのぉ…両親のことでお話があるんですけどぉ」 同じく不安そうなアイル。オルドーネに伝えておくことがあるようだったが、オルドーネはこの場では聞こうとはしなかった。 「話は後で聞こう。とりあえず、部屋を用意した。しばらく休むといい」 オルドーネは不安そうな2人に、安らげる時間を与えようと気遣かった。 「そうだ! ヒカル! ヒカルは?」 「アルピナ君からの連絡によれば無事だと言っていた。ジキに気がつくだろう」 「そう…。よかった」 レイナはヒカルの容体を聞いて安心したようだ。 しかし、アイルに服をツンツン引っ張られて思い出したように言う。 「あっ! ヒカルの名前は絹川。絹川ヒカルっていいます」 「わかった。親御さんに連絡しておこう」 オルドーネが言い終えると同時ぐらいに、ブリッジに男が入って来た。 女の人かと見間違えそうな、ダークレッドの髪は長く、後ろで束ねている。背は175cmぐらい、頬はコケ気味でスラッとした体型。 「おい、トトロス! ちょうど良い所に戻ってきたな」 「えっ?」 レイナもアイルも驚きを隠せない。 さっきまで戦闘機を操縦していた男だとは思わなかったからだ。 「何ですか、艦長」 「このお嬢さんたちを居住スペースに案内してやってくれ」 ゙何でオレが?″ ゙巻き込んだお前の責任だ″ 「…………………………………………………………っかりました」 しばしの沈黙の間に、トトロスと艦長のアイトークがあったと思われる。 トトロスは食堂と洗濯場、トイレとシャワー室の場所を案内した。 食堂は基本セルフサービス。 調理道具等は一通り揃っているが、調理師がいないのが難点だ。とはいえ、各人好きな物を好きなだけ食べているので、そんなに不便を感じてないらしい。 「あ。あんたたちのメシは当分オレらの残り物な」 「なんでよっ! 嫌よ。そんなもの」 「冗談だって、冗談。客人用のがどっかにあったはずだ。固形物だけどな」 「それで結構」 「あー。待てよ。賞味期限ギリギリだったか?」 「……………………」 「なんてな。心配すんなよ。みんな多めに買い出ししてるはずだ。勝手に食っても怒りはしないだろうぜ」 レイナは少しイライラした。 洗濯場にはどんな繊維の汚れでも落とす、銀河でも最良のドライ洗濯機が5台完備されている。 「自慢だぜ」 「この程度で?」 「ああ…」 今度はトトロスのほうが少しイライラした。
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