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楽園追放からいくつの時を数えただろう。
太陽が出てる間も、月が出てる間も、変わらず凪の浜で空と海の交わる彼方を眺めている。
男はいつからか考えるのやめた。
自分と未来の深淵が彼を喰らい尽くしてしまい、あとはひたすら終わりの時が来るのを待つだけであった。
もはや彼に心や精神といったものは残されていない。
そのとき、ずっと凪いでいた浜辺に、潮を孕んだ一陣の風が、男へ向かって走って行った。
男は潮風に吹かれると、風のままに、流離いの塵となって消えた。
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