楽園の記憶

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 歓喜、狂騒、愉悦、恍惚、極楽、甘美、陶酔、逸楽……。  楽園には様々な歓びが充ちていた。  住人は太陽が昇るのに合わせて目覚め、日がな一日宴もたけなわに過ごし、太陽がその身を隠すと目蓋を閉じた。  そんな時を気が付いたときからずっと繰り返している。  いつか誰かに聞いたが、ずっと昔から続いていると言った。  また別な人間に聞いたら覚えていないと答えた。  かくいう自分もいつからあの場所にいたのか、まったく覚えが無いのだが。  そして、一日中騒いでいることに気が付いた時点で、私はもう楽園の住人で無かったのだろう。
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